ヘッドハンティングの仕組みと転職エージェントとの違い
【この記事で分かること】
・ヘッドハンティングの仕組みと報酬体系
・【要注意】悪質なヘッドハンターの実例
・あなたがヘッドハンティングされるためには?
ヘッドハンティングは本当にカッコイイ世界の話?
ヤスさん、前々から思ってたんですけど、ヘッドハンティングってカッコイイですよね〜! いい響きですよね〜!

……うーん、ぺーちゃんはヘッドハンティングがちゃんと分かってるのかな? 説明してみてよ。

ほら、あれですよ。なんか黒服の人が札束がぎっしりのアタッシュケースを開けて「君のポストは、用意できている」って言うんですよ。

ヘッドハンティングとは社外から優秀な人材をスカウトし、自社に引き入れることを言う。
今回は「ヘッドハンティング利用転職」と「通常の転職エージェント利用転職」の違いなどと併せて、ヘッドハンティングについて詳しく解説しよう。
【転職エージェントをもっと活用せよ】
転職エージェントの選び方、活用方法わかっていますか?
↓この記事を読んで、転職エージェントをフル活用しよう!
■転職エージェントの比較は無意味。おすすめの選び方&活用方法
ヘッドハンティングとは?
まずは「転職エージェントを利用した転職」と「ヘッドハンティングを利用した転職」の違いについて解説していこう。最も大きな違いはなんだと思う?
はい! キャリアチェンジで多額のマニーがムーブすることです!!
これは知っています。通常の転職エージェントは自分(転職希望者側)から転職サービスに登録して企業を見つけるのに対し、ヘッドハンティングでの転職はサービスに登録をしていない、つまり転職を希望していない方に企業を紹介する点です。
さすがエージェントY。よく勉強しているな。つまり、能動的に自分から動いてするのが通常の転職活動なのに対し、受動的に待つのがヘッドハンティングを利用しての転職だ。
え〜。そんなこといっても、ほとんどの人は声なんてかからないでしょうに。そうなると、やっぱり転職エージェントを利用した転職が良いのでは?
>>エージェントを利用した転職の、転職サービス比較ページはこちらから
そう焦るな。当然多くの者にとってはエージェントを利用するほうが汎用的だが、どちらが良いということではない。どちらも知っておくことが重要なのだ。
ヘッドハンティングの対象者
じゃあまず、どんな人がヘッドハンティングされるんですか? やっぱり私みたいに超優秀な人なんですかね?
何をもって優秀とするかは難しいが、 “基本的には” 希少性の高い者がヘッドハンティングの対象となる。例えば、通常の求人情報での採用が難しいと思われるような経営層の者や、ニッチな分野の業務経験者、あとは同業他社からの引き抜きなんかでも利用されるな。
それなら企業の人、例えば人事担当の方なんかが直接引き抜いても良いんじゃないですか? わざわざヘッドハンティングを利用しなくても……。
そうだな。ヘッドハンティングでの採用は対象者を見つけることができれば個々の企業の人事担当者が直接行うこともできる。
ただ、そもそも対象者を見つけることが難しい。そのためにヘッドハンティングの専門の業者が存在しているんだ。
ヘッドハンティングの仕組み
専門の業者は転職希望者と企業の間に入るわけですよね? だとすると、形としては通常のエージェント利用の転職と変わらないんじゃ?
確かに転職対象者(求職者)が転職したいかどうかを除けば、構図としてはほぼ同じだな。

報酬体系も通常の転職エージェント同様に、成功報酬になるんですか?
いや、ヘッドハンティングは通常の転職エージェントと報酬体系が少し異なるのだ。
報酬体系
企業がヘッドハンティング会社に仕事を依頼するときには、通常、対象者調査のための「着手金」と内定が決まったときの「成功報酬」を決めて発注する。
つまり、先払いの着手金と、後払いの成果報酬ということですね。
ち、ちなみに、金額の相場はナンボのもんなんですか?(ヨダレ)
着手金と成功報酬を合わせて、スカウト対象者の想定年収の50~60%程度に設定することが多いだろう。
転職エージェントを利用しての求人であれば、対象者の想定年収の30~40%が相場ですよね。求人広告であれば数万円から数十万円程度で利用できますし……。比較すると、ヘッドハンティングが他の求人方法よりもかなり高額なことが分かりますね。
うむ。それでいて仮に候補者が見つからなかった場合でも先払いの着手金は返ってこないことがある。求人を出す企業としても、どうしても欲しい人材を探すときだけに使う切り札的なものだと考えているはずだ。
候補者の見つけ方
ところで、ヘッドハンティング会社はどのようにスカウト候補者を探し出すんですか? やっぱり場末のバーカウンターでウイスキーの注がれたロックグラスを滑らせ「あちらの方からです」っていうのをやって……。
ある程度名前の知れたヘッドハンティング会社であれば、ヘッドハンティングを希望する個人が履歴書などを送ってくることがある。とはいえそれは稀有な例だろう。
たいていは人海戦術だ。該当業界内の評判、クチコミ、また思いつく限りすべての人脈を駆使して、候補者を挙げていくのだ。
ぺーちゃんの想像とまではいきませんが、ヘッドハンティングの候補者探しってスマートでカッコいいイメージでした。実際は地味で地道な作業なんですね……。
そうして候補者が見つかれば、電話、メール、封書などで連絡を取り、面談にこぎつける。転職エージェントの面談は転職エージェント社内で行われることがほとんどだが、ヘッドハンティングの場合はスカウト候補者の都合の良いエリアのホテルのラウンジ等が利用されることが多いのも特徴の一つだ。
ところでボス、さっき言っていた『 “基本的には” 希少性の高い人が候補者になる』ってやつなんですけど、 “基本的には” ということは、希少性が高くない場合でも候補者になる場合があるということですか?
珍しく素晴らしい洞察だ。その通り、ヘッドハンターによっては希少性がない者でもヘッドハンティングという甘い蜜を悪用して、望まぬ転職をさせてしまうのだ!
【実録】本当にいた、悪質なヘッドハンター
そんな……。悪質なヘッドハンターがいるなんて。捕まったりしないんですか?
そこはさすがプロと言うべきか、実に巧妙な手口で転職支援を行うんだ。
ヘッドハンターの悪質な手口とは?
例えば悪質なヘッドハンターは、同じ求職者に対して2、3年に一度くらいの頻度で新しい転職先を紹介する。
当然多い。あまりに転職回数が多い者は「すぐに辞めてしまう者」というレッテルが貼られてしまい、転職活動の際に大いに不利になるだろう。
まあ、レッテルというか実際に辞めてますしね。で、その巧妙な手口とは?
そのヘッドハンターは「◯◯さんに良い企業があるんですよ」と言うのだ。
その転職者は「ヘッドハンターから声がかかる」という自分を過大評価してしまうのではないでしょうか?
その通りだ、エージェントY。つまりその転職者は、「ヘッドハンターから声が掛かる自分」にどんどん付加価値をつけていき、転職を繰り返すことでキャリアアップに繋がっているものだと錯覚してしまうのだ。何もしていないのにな。
僕も以前転職サイトに登録したときに、スカウトメールという形で何度も企業から直接お声がかかりました! これもヘッドハンティングですよね!!
ああ、それ自動的にマッチングされて送られるやつだね。
そう、ヘッドハンティングの声がかかったこと自体にはなんの希少価値もない。しかし多くの者はそれを錯覚している。このような悪質なヘッドハンターは、その心理をうまく利用したというわけだ。
そして、転職のたびに紹介報酬を受け取るわけですね。
ああ、転職者の市場価値がなくなっていくのと引き換えにな。
悪いヘッドハンターに引っかからないためには?
ひどすぎる……。どうしたらそういった悪質なヘッドハンターを回避することができますか?
至極当然の対処法だが、
「自分でちゃんと考える」ということだな。
先ほど説明したが、ヘッドハンティングは企業側からのアプローチであるため、候補者には現職がある場合がほとんどだ。
多くは現在の仕事を変えるかどうかの選択になる。
現職と提案された案件を比較することになるんですね。
それがなかなか難しいのだ。ヘッドハンティングはその人を欲しがって個別に連絡をとっている。いわば指名買いだ。現職があるものを振り向かせるために、年収は現職よりも高く設定されていることが多い。
いやいや、お金の問題じゃないでしょうに。僕は仕事の内容を重視するから、ヘッドハンターの甘い提案にもちゃんと思慮深く対応することができるだろうなあ……。
一見すると軽率な判断に見えるが、年収が大きく増えることは判断力を鈍らせるのに十分すぎる要因だ。エージェントPのように即決してしまう者も中にはいるだろう。
ヘッドハンティングで提案のあった案件は、自分が本当にやりたいことなのか。たとえ年収が大きく増えたとしても、自分のやりがいを見出すことができるのか。冷静に頭を冷やして考えることこそが、悪いヘッドハンターに引っかからない単純かつ最も効果的な方法といえるだろう。
転職エージェントを利用し、担当の方に相談するのもありですね。
確かに大手の転職エージェントであれば、情報網を駆使してその企業についての情報を提供してくれそう!
まあ、ヘッドハンティングされなくても、転職エージェントを利用することで「このような企業はどうですか?」という提案を受けることができる。
これは見方によってはヘッドハンティングと同じ受動的な転職といえるだろう。現職が忙しい者やキャリアップを検討している者は「私に合った企業を紹介して下さい」と相談するのも、十分アリな使い方だな。
その場合って、やっぱり最大手の「リクルートエージェント」がおすすめですか?
そうだな。エージェントの在籍数が最も多いため、相性が合わないと感じたときや上手く相談に乗ってくれない場合はすぐに変えてもらえば良い。
>> リクルートエージェントに相談する。
ただし、現段階で750万円以上の年収がある者は、ハイクラス向けの転職エージェント会社を利用するほうが効率的だろう。
そうだ。「ビズリーチ」などは企業担当者が直接、求職希望者のデータを参照することができるため、一種の「ヘッドハンティング立候補制度」と言えるだろう。
案件も一般の転職エージェント会社よりも選りすぐられたものが多いため、自分の腕に覚えがある者は、ぜひ登録してみてほしい。

最後に:あなたがヘッドハンティングされる第一歩
最後に聞きたいんですけど、実際にヘッドハンティングされるには、どうしたら良いんですか!?
説明した通り、ヘッドハンターが利用するのはクチコミや評判だ。企業のホームページやパンフレット、業界紙などで顔写真つきで業績が紹介されるような人材になれば、話題の人となることができる。
「○○社の○○さんは、すごいんだ!」と思わず話にのぼるような人材になれば、ヘッドハンターの目に留まる可能性は必然的に高くなってくるだろう。
なるほど、今いる場所で努力することこそ、ヘッドハンティングされる近道となるんですね。よーし、頑張るぞ〜!
そうだ、その意気だ。ちなみにこのオフィスで言えば、倒すべきライバルは上司であるエージェントYになるな。
ヘッドハンティングさん聞こえますか? 私はしばらく大丈夫です。ヘッドハンティングさん聞こえますか? 私はしばらく……
【転職エージェントをもっと活用せよ】
転職エージェントの選び方、活用方法わかっていますか?
↓この記事を読んで、転職エージェントをフル活用しよう!
■転職エージェントの比較は無意味。おすすめの選び方&活用方法