転職エージェント内で起きたストーカー事件
2016/03/18
転職エージェント内で起きたストーカー事件
面談から2時間経っても戻らない女性アドバイザーA
ある女性が勤めていた転職エージェントでは、求人が紹介できそうな利用者が登録してきたらアドバイザーが個別にメール連絡し、社内ブースで1対1の面談を行うという流れだったそうだ。
15分から30分程度の面談後、その場ですぐに紹介できそうな求人がないかアドバイザーは一度席に戻って、案件を探しに来るのが通例なのだが、ある日、女性アドバイザーのAさんが面談に向かってから2時間経っても席に戻って来なかったことがあったそうなんだ。
Aさん救出大作戦
Aさんと同じチームのアドバイザー達がそれに気づき、Aさんが対応している男性利用者に最初にお茶を出しに行った女性のところに「あのブースの利用者さん、どんな人だった?」と聞きに言ったんだ。
すると「おとなしい感じの普通の男性会社員さんという印象で、特に変わった方とは思わなかったのですが、2時間経っても1度も戻らないというのは何か異常事態かも…」とのこと。なので「クライアントから緊急連絡がありました。大至急折り返しお願いします。」という嘘の伝言メモを持ってブースに入り、Aさんを救出してみることになったそうだ。
2時間も話し込んでいるくらいだから、さぞかし盛り上がって…、と思ったらこれがまったく。葬式のような重たい空気のブースの中からAさんを救出したそうだ。
20代エリート男性利用者の素顔
さすがに疲れた様子で戻ってきたAさんにみんなで様子を聞いたそうだ。
履歴書や職務経歴書を見る限り、誰もが知っているような有名私立大学を卒業後、誰もが知っているような有名企業に勤務をしている20代の男性利用者さんだったそうだが、なんと、ひたすら学生時代に自分がどれだけ成績が良かったか、今の会社の人たちがどれだけ馬鹿で使えないか、という話をボソボソと延々2時間し続けていたそうだ。
求人の希望を聞き出して、案件を探してくるという口実でブースからの脱出を試みようとしたそうなんだが、どんな仕事をしてきたのか、どんな仕事をしたいのかという質問には一切答えてもらえず困り果てていたそうだ。
Aさんは重要なクライアントのトラブル対応中で面談には戻れない、ということにして、ベテラン男性アドバイザーさんに男性利用者さんを引き継いで、それから10分程度でその日は面談を終えて帰ってもらった。
「Aさんのオフィスが見える交差点で待っています」
それから毎日、その男性利用者さんからAさん宛てに電話がかかってくるようになった。
もちろん電話はつながず、男性アドバイザーが対応するようにしたのだが、そのうちに、「Aさんのオフィスが見える交差点で待っています」「今、会社の1階まで来ています」とエスカレートしていったそうだ。
男性利用者さんの顔がわかる男性アドバイザーに見に行ってもらったら、本当に来ていたそうなんだ。
彼女が勤めていた転職エージェントではこんな利用者が現れたのははじめてで、対応方法がわからなかったそうだ。そこで、より規模の大きな転職エージェントなら対応の経験があるのでは?ということになり、国内最大手の転職エージェントに友人が居るという男性アドバイザーが問い合わせを行った。
ストーカーの常習犯?
こちらで起きたことを一通り説明したところ、国内最大手エージェントさんに「その男性利用者って、○○さんじゃない?」とズバリ言い当てられたんだ。
つい最近、先方でも同じ事件があって、出禁の要注意利用者として社内共有メールが送られていたそうだ。
被害にあったアドバイザーとは同期ですぐに連絡が取れるということだったので、どうやって出禁にしたのか聞いてもらうと、ストーカー行為の証拠を押さえて、警察に迷惑行為として警告をしてもらったら行為がピタリと止んだ、ということで、こちらもまったく同じ手順を踏むことにしたんだ。
まず、近くの警察に相談に行き、会社の固定電話に取り付けることのできる録音機器を貸し出してもらう。これは無料で貸してくれたそうだ。携帯電話用の録音機器も用意があるらしい。
男性利用者が最後に対応した男性アドバイザーの席の電話機に取り付け、その男性利用者さんの携帯番号と非通知着信は、すべてその1台の固定電話で必ず男性が対応するよう徹底した。
男性利用者さんから着信があったら、こちらで通話を録音をしていること、弊社としてはあなたの転職をお手伝いすることはできないことを都度伝えたそうだ。
それでも数日は電話があったらしいが、録音した会話を元に警察から警告をし、重ねて会社からも文書で出入り禁止にする旨を通知したそうだ。